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小説「生存者」を挙げたのでこの二本も挙げておく。
まず「アンデスの聖餐」。
関係者へのインタビューや、遭難現場の様子を収めたドキュメント映画。
正直かなりキワドい映画である。世紀のドキュメント,人間の尊厳を問う云々の美名の下に
ゲスな覗き趣味を発揮しているのは明らかで,モンドな香りが濃厚に漂ってくる。
もうちょい真面目な映画だと思った空缶がバカだったという。
生存者の誰だかが,事故現場をこれから世界中に暴露されるとも知らずに
喜々としてインタビューに応じているが,奇蹟の生還として国挙げての歓迎ムードの中、
彼らが浮き足立っていたのは責められない。
作り手の意図は置いとくとして,事故現場をありのままに捉えた貴重な映像資料・・・
と言う側面を認めていいものか。
この映画は一大ドラマの舞台裏・・・というか先入観抜きの,あるがままの舞台を見せてくれた。
散乱した死骸と人骨。雪になかば埋もれ変色しかけた死体の山。
先に「生存者」を読んだ後でこの映画を見た空缶にとっては,百の理屈も吹き飛ぶ
まさに「映像の力」の確認ではあった。話を改めて有機的に捉える助けになった。
しかしこれはいきなり見た人にとっては衝撃映像以外の何物でもない。
・・・まぁ制作者はそれで一儲けを狙ったんだけど。
「グロだよね?」で流されては遭難者たちが浮かばれないじゃないか。
小説を読んだ後か,後述の「生きてこそ」を観た後で
最後にこの映画を見る事をおすすめしたい。
因みに,映画としての出来はほんと,急ごしらえのやっつけ過ぎ。
さんざ事故現場の無惨な有様を舐めるように流した後で
唐突に遭難者たちによる快活なラグビープレイの模様が映し出され、
軽薄な歌が流れて強引にハッピーエンド。
あんまりである。

で,「生きてこそ」。
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事件をグロ扱いすんなと言いつつ、こちらにはグロ分が足りなさ過ぎる。
事のあらましをかなり忠実に再現したドラマで出来もいいと思う。
手堅い演出が,ともすれば滅入る一方の話に起伏を与えていて飽きさせない。
スリルやサスペンスという映画的面白みもちゃんと押さえられている。
しかし事実の取捨選択として,肉片の描写を排除するというのはこの場合
やってはいけない事じゃないのか。
凍った死体の尻肉一回、ササミのようなパサつく肉片数回,盆に切り分けられた肉塊一回,
遠景に散らばる「何か」,それだけがすべてである。
何かと規制の厳しい昨今でももっと際どい映画はある。
話の本質からして、現場の惨憺たるグロ要素はもう少し強調すべきではと感じる。
生存者たちの苦悩の大きな一因をぼかしてはいけないのでは,と・・・。
あまりに重過ぎる苦難をどこまで観客に共有させるかという,純粋に映画作法としての
カラーやニュアンスの問題もあるだろうし,一概にこれはダメと決めつけられるものじゃないが。
この映画には生存者の一人がアドバイザーとして参加している。
当事者の意思でソフトな描写がなされたのならそれはそれで尊重すべきだと思うが,
そのへんの事情はよく分からない。
空缶が映画的にグッときたのはやはり,飛行機墜落の場面。
今しがたまで騒ぎ浮かれていたボンボン共を乗せた飛行機が,粉々にならずに
「文明のパッケージ」さながら胴体だけで雪原に突っ込んで行く様が
下手な創作より出来過ぎだ。
「神がいるとしてこんな試練をお与えになるだろうか?」
遭難者の一人がつぶやく疑問である。
まさに神の残酷なイタズラとしか言いようがない事故なのだ。※


「生きてこそ」エンディングより「アヴェマリア」

※とは言え、ソースによって細部が違うのではっきりとは言えないが
パイロットと管制センター,それぞれの小さなミスが重なって
航路と高度が同時にズレたという「人災」であるのは言うまでもない。
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