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ロジャー・ゼラズニイが描く「アメリカ神話」。
元ヘルス・エンジェルスが核戦争で異形の荒野と化したアメリカ大陸を横断する
アクションストーリー。
西部開拓時代の冒険を未来に持ち越したような,いかにもなアメリカ臭さ全開。
ポテチを食いながら楽しめばいいじゃないか,という感じである。
でもこの安直さが曲者だ。
ゼラズニイはこの他にもギリシャ神話モチーフの「我が名はコンラッド」,
インド神話モチーフの「光の王」を描いている。
「こうだろ? アメリカらしいアクションってこうだろ? ん??」と
高みから醒めた目で描いている気配が曲者だ。
バイク、マシンガン、ドクロ、巨大コウモリetc.ハリウッドB級路線のアイテムがこれでもかと。
チンピラの主人公が旅を通して人間性を回復していくくだりは感動的だが,
それすら「アメリカ好みのヒューマニズム」という計算下で描かれているとすれば
トンだ食わせ物には違いない。
最初から最後まで実験として執筆活動をするのはレムくらいだと思うが
油断ならない作品には違いないのだ。
じゃあそういうメタ概念をふまえて上位には何がくるのかと。
あとがきに答があった。
「一人の男を自然の暴威に立ち向かわせようと考えた」云々。
ちゃんと感情移入していましたとさ。
状況的には,作家の実験だろうと生活の足しに書いたもんだろうと
渾身の一作だろうと読む側には関係ないのだけど,透けて伝わってくるものって
やはりあるだろうと。それが計算づくだったらどうすればいいんですか先生って話。
そんな心配をする位にエピソードのいちいちが男くさくて渋カッコいい。
行きずりの女の為にスペルミスだらけの墓を作る場面,
子供に「でっかい機械」を語る場面、そして何よりラスト・・・。


空缶が所持しているのは昔のハヤカワ版だけど,何とはなしに再読していて
ふっと気付いた事がある。
凄腕の悪党がパクられて,刑の免除とひきかえに時間を争う困難な任務を任される。
で,どこに行っても名前を知られている有名人っぷり。
そして冒頭のこのイラスト。
ny199.jpg
スネークと呼びな・・・

まるでニューヨーク1997ではないか
順番としてはこの小説の方が先である。
あれはあれでいずれ感想を書きたいフェイバリットな映画だけど
このへんどうなんですか監督。

だが何はともあれ,この程度(っちゃあ失礼だけど)のひねりでうろたえていては
グラス・ハンマーは読めないのだ。
本作,グラス・ハンマー,ハードワイヤードは空缶脳内で勝手に三つでワンセットなので。で,最後のやつが一番素直で愛い奴という事になってる。


エスケープ・フロム・L・Aですが

地獄のハイウェイ (ハヤカワ文庫 SF 64)地獄のハイウェイ (ハヤカワ文庫 SF 64)
(2008/07/15)
ロジャー・ゼラズニイ

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追記:
追記:
で,もうちょい掘り下げて書くなら、
「アメリカ神話の見えにくさ」という側面をこの小説は照らしている。
インドなりギリシャの神話なら,いかにも見抜きやすいけれど
本文中にも書いたバイオレンスアクションのモチーフは
メディアの大きな一角,「ふつうの光景」ですらある。
そしてそれが現在進行形のアメリカ神話に他ならないという。
一万年後の人類がマンハッタンの摩天楼跡地を調査して
この,少しだけ未来に設定されたフィクションを発掘するとき
もっとリアルなクライムサスペンス、あるいは猟奇事件の実録と
いっしょくたの箱に分類しないとも限らないのだ。
そして,「意図してアメリカらしさを演出する」というのは
アメリカのテレビ局でドラマの脚本家たちが日夜行っている作業でもある。
ゼラズニイは実験的、野心的な経路を経て凡百のアクションに至ったとも言える。


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