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むかし弓の達人がいて,あまりに弓に親しみ空気の如く当然の物とした為に、
ついに弓の引き方を忘れてしまう,という逸話を読んだ。
町田康氏が町蔵時代、フールズメイト誌上に書いていた事なので出鱈目かも知れない。
空缶にとってのディックという作家はまさに「弓」であって,
ハヤカワとサンリオの主立った著作はほとんど貪るように読んでいながら
お前の何だと言われると大変答えにくいものがある。
部外者からは「まさにSFだねぇ」と鼻で嗤われ、SFファンからは
ありゃSF圏外だよと拒絶されるような,そういう危うい地点に
ディック作品は位置していると思う。特に中期以降。
カテゴライズしにくい作家と作品には違いない。
未来人やガニメデ生物を出しながらなぜか人生、なぜかほろ苦いモラリズム、
苦労人の・・・失礼承知で言えばボンクラ哲学にシフトしていく様が・・・
おかしいといえばおかしい。
レコード屋の雇われ店長の職を蹴って文筆活動に入るという
典型的「逃避的クリエイター願望」・・・本人は「自殺行為だった」と言っている。
そこから始まる悲喜劇的な半生はもはや語りぐさだ。
そしてそれさえも客観的なネタにする「自分語り」の巧みさ。
元妻によれば体験談の幾つかは脚色だらけだとも言う。
エピソードを語らせるとウソだらけの島田洋七さながらではないか。
そんな芸人体質の男によってしみじみと綴られた特異な私小説・・・
ならぬ私SF、というのがディック諸作品に感じるところだ。
作品と作家を結びつける危険というのを承知でなお,
ある時は暗い目でボヤき,ある時は励ましてくれる,そんな暖かみが好きだ。

ディックのオフィシャルサイト
http://www.philipkdick.com/index.html
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  1. 2013/07/10(水) 08:00:00 |
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