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同名の話が幾つかあるけど,ストルガツキー兄弟のSF小説について。
二律背反というか,
ホラーというジャンルは,上出来で恐ろしくあるほどに
作り手のノリの良さと情熱が感じられ,空缶はつい嬉しくなってしまう。
ありえない嘘を自然に見せる技巧。
巧みであればあるだけ変な躍動感が胸の中に芽生えてしまう。
怖がらせようとしている作家と作品に対してどうだろうと我ながら悩ましい。
ストーカーはそういう意味で、失礼ながらワクワク度満点の小説だった。
一読すれば分かるが,不可思議で玄妙な状況設定である。
「何か」が短時間田舎町にやってきて,謎のアイテムや現象をバラ撒き
去っていき,町を超危険地帯 -ゾーン- に変えてしまう。
そしてゾーンの力が世界をも変えて行く・・・という筋書き。
正体不明の力に翻弄される,冷ややかな不安が全編を覆っている。
時めいてしまうのは,これでもかと繰り出される謎の数々。
正体不明の何か・・・じゃあ何でもアリじゃん,とばかり
これでもかという数の不思議が話に散りばめられた。
そしてそれらが揃って素晴らしくピンが立っているのである。
太陽の方を向く影、天と底だけで胴体のない空缶,伝説の跳ね回る熊の人形etc.
僕の「空缶」という名はこの小説からもらいました。
極めつけは蘇った死人
キワモノの登場に「・・・滑った?」と一瞬不安になったが
そこは見事というか,前例のない悪夢的な使われ方をされていて一安心。
これはもう出血大サービスでしょ・・・ゾンビっスよゾンビ!
異常は表面だけに留まらない。
ゾーン近郊の人間がどこかに越すと,その場所の死亡率が高くなる、等
知らぬ間に因果律さえ歪み始めている。
そして一番恐ろしいのは企業や科学者が,これらの怪異をどうにか利用しようとしている事。
下手につつけば世界を滅ぼしかねない未知の現象をだ。
・・・思いつく限りの斬新な奇異と恐怖。ワクワクせずにいられようか。
いや絶対A&Bのお二人ノリノリだから。言い切りますけど。

st_.jpg

文末に尼のリンクをしたが,
あろう事かno imageなので表紙を貼っておく


そうしたアイデアの奔流にうめぇうめぇと舌鼓を打つだけでも
充分に読む価値のある小説なのだが,僕が感動したのは
これが一種のアウトロー小説でもある事だ。
主人公「赤毛」はチンピラ小僧の時分から,
厳重に隔離されたゾーンに侵入してはブツを盗み出すのを生業にしている。
この職業的故買屋たちを指して「ストーカー」と呼ぶ。
赤毛はまた,変異前のゾーンの生まれでもあり
最大の警戒を払いながらもゾーンを見渡す視線は優しい。
もとからがガザツな鉱山町に過ぎなかったにも関わらずだ。
そしてストーカー稼業で暮らしつつ同時に怒ってもいる。
変わりゆく町を愛そうとし,翻弄されながら自身もまた老成していく。
赤毛の生き方にはしみじみ考えさせられるものがある。
彼の人生と究極の不可思議アイテムがクロスオーバーするラストは鮮烈だ。
斜陽のおらが町から
「地方から世界を変えていく!」と叫びが上がる時、いったい何が始まるのだろうか。

ストーカー (ハヤカワ文庫 SF 504)ストーカー (ハヤカワ文庫 SF 504)
(1983/02)
アルカジイ・ストルガツキーボリス・ストルガツキー

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追記:
友人と,世界的に有名な小説だよね,と話していたら彼が
「探せばグダのファンクラブがあるかも」と言い出した。
そんなもんある筈がないじゃないかと呆れた。
バーブリッジの娘を差しおいて何を言っているのかと。

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