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いやいやいやあり得ねーあり得ねーぜってーありえねー!
と手をヒラヒラさせながらも最後まで読まざるを得ない一冊。
学校からスーパーまで完備した超巨大マンションの中で
血で血を洗う抗争のドつぼにはまっていく住人たちのお話。
ご近所トラブルは一線を超えると新聞沙汰になったりする。
それがあろう事か全住人が喜々として一線を超えてしまったバトルフィールド。
そこに至るまでのエスカレーションぶりが巧みでつい納得しかけてしまう。
・・・しませんかそうですか。
巨大マンションというアイテムを皮相な形で扱い
社会病理や文明批判がうんたらかんたらと言うといかにも70年代SFテイスト。
「ザルドス」「ソイレントグリーン」などと相通じる生硬さが懐かすぃ。
しかしそこはバラード、単なる集団ヒステリー恐いねの教訓では終わらない。
階ごとに結託した「部族」同士の抗争は既得権拡大を巡る戦いを装っているが
豊かなマンションの中で「水場争い」をする必然は存在しないのであり
古来からの抗争様式を模倣しつつ,一致団結で暗黙のうちに目指されているのは
施設破壊、外部との接触を断つ事による孤立と食料危機,更なる荒廃・・・。
荒廃の階段を上がれば上がるだけアナーキー的に自由になっていくという
倒錯した論理が住人たちを突き動かしている。
幼児退行する奴、狂う奴、狩る奴、死ぬ奴、全てが許される空間。
皆がそれぞれに自由になっていく。
これはという見せ場は幾つもあるが,僕はラストこそが白眉だと思う。
幾日にも渡った騒乱で散らかった廊下を掃除しはじめる女。
住人たちは荒廃の果てに,タナトスとやらさえ突き抜けて
「マンションの住人」というただそれだけの自分を再発見したのだ。
すがすがしいとしか言いようがない。

でも,お客はもう絶対呼べないな・・・

ハイ-ライズ (ハヤカワ文庫 SF 377)ハイ-ライズ (ハヤカワ文庫 SF 377)
(1980/02)
J.G.バラード

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追記:
作中にスティールという歯科医が登場するが,
漫画「ドラゴンヘッド」のノブオのモデルではないだろうか。
「蠅の王」「地獄の黙示録」などがあの漫画のモチーフだとは聞くが
真ん中分け、ボディペイントで死体いじりが好きというスティール像が
どうもノブオに重なってしまう。どんなもんだろう。

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