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サンリオ文庫の原作を持っているんだけど、今探すと階下の世帯に迷惑なので
記憶に頼りつつ映画の話など。
原作はアーシュラ・ル・グインの「天のろくろ」。
ル・グインとP・K・ディックは高校の同級生だったそうで、同窓のよしみかどうなのか、グインがPKD節を真似てみた話。
「ディックが書かなかったディック作品」と確か解説には書いてあったが、現実の不確かさを描く点はPKD的なものの、ディックなら必ずやらかす話の破綻もなくスマートな展開ではあった。空缶はディックの著作の中に混ぜちゃってるけど。
夢で世界を変えてしまう男の話。
ある夢を見て目覚めると、世界が夢の通りに変質している。
しかも、その世界は夜の間に変化したのではなく、過去からずっとそうだったという事になっている。男がどんなに変化を指摘しても周囲の人間は「前からこうだったよ」と相手にしてくれない。そんな基本設定だ。
1984年の真理省による情報改ざんを地でいくような話。

で、映画。
冒頭の、明らかにワレワレの世界とは違うデッドテクな異世界。
あ、これはイケるかなという期待感。
Lathe of Heaven2

ところがまぁ、上に書いたような設定のもと世界がコロコロ変わるのだけど、強烈な違和感のある世界というのが冒頭のテリー・ギリアム風味世界だけ。後は同じような珍奇な未来社会の連続、という感じでどうもマンネリな感じがある。双子を出したり、ファッションを微妙に変えたり頑張ってはいるんだけど。
あと、オフィスに飾ってあるゴダイバ婦人の絵がテキトーすぎ(笑)。
Lathe of Heaven1
原作で確か、あれも心理学的な計算内って説明があったか。いやなかったか。何にせい、あんな下品な絵を飾ってる博士は嫌ずら。
それはともかく。
映画で決定的に欠けていると思ったのは博士の「何が変わったんだね?」という問いかけ。
世界の変化を肌で知っているのは主人公だけなのだから、尋ねないと分からんでしょ。
主人公の夢のおかげで世界が変わり、野望がかないつつある事を実感しなければ博士の暴走はあり得ないわけで(改変世界での博士は『最初から』豊かな成功者だったのだし)、そのへんの「夢コントロールのたどたどしさ」がまるでないのは話の醍醐味をかなり殺ぐと思うんだ。
ちょっとした会話で表現できるんだし、そういう細かさにもうちょい凝ってほしかった。
Lathe of Heaven3

あと、映画は映画、原作は原作、という事でオリジナルストーリーな事はいいんだが、あの、世界が突然テロリズムってのがよく分からない。
どんなに博士の内面が荒々しかったとしても、荒れた世界が到来するのは博士が目覚めた後でしょ。主人公の作った世界に博士の荒廃要素がオーバーラップするってのは話として破綻だと思うのだ。超能力で世界を変える、とかそういう事じゃないんだし。
バック・トゥ・ザ・フューチャーで写真の人物が消えていくようなデタラメさではないか。
空缶が誤読してるのかなコレ。
後はまぁ・・・結果すべてリセットというオチはスマートでいいかなと思う。
きれいにまとまってて、新たな始まりの予感もすがすがしいしね。
亀エイリアンの、まんまディック的な優しさと「ウィズ・ア・リトル・マイ・フレンド」の癒しも捨てがたいのだけど。
ディックなら恐らく、リンダ・ロンシュタットの曲にしたに違いない。
お遊び的にそのへんを織り込んでくれるかな、と期待したけどそれは望みすぎってもので。

因みに、20年以上前に「天のろくろ」は一度映画化されていたようで、空缶はそれかと思って鑑賞した次第。そっちは日本未公開らしいがどこかで入手できないものか。

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と。
あごヒゲで分からなかったけど、博士をやってたのはジェイムズ・カーンじゃないか!
こりゃ、あのノイローゼ青年では絶対勝てんわな。
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  1. 2016/12/30(金) 10:04:16 |
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